英語が聞けるようになると、もっと子どもに英語に興味を持ってもらえる…
英語の音になるべく早い段階で慣れてほしい…
そう思って、自宅で英語の音声を掛け流したり、子ども用の動画を流してみたけど、うまく興味を引き出せなかったということはありませんか?
英語のリスニング力を高めれば、たしかに子どもに「英語が聴ける・英語がわかる」という感覚を引き出してあげられるので、大きなモチベーションにつながるでしょう。
しかし、英語コンテンツに触れるだけでは、なかなかリスニング力UPにつながらないのが現実です。
この記事では、小学校低学年の子どもと、小学校4年生以降の子どもに分けて、リスニング力の高め方について解説していきます。
・リスニング力は、「英語の音をたくさん聞く」「ネイティブの音を聞かせる」だけではないということが分かる
・英語のリスニング力を高めて、「子どもの英語が聞ける」という感覚を引き出すために何が大切か理解できる
小学1,2年生は英語に触れよう!聞き流しもOK!
小学校低学年においては、英語の絵本を、読み聞かせるのがおすすめです。
もちろん、英語の音楽を流したり、英語の動画コンテンツなどでも問題ありませんが、できれば、親御さんが一緒に参加することが大切だったりします。
なぜなら、小学校低学年くらいまでは、語学を自然と身につける力があると言われていて、身近な人が語りかけることが、脳の刺激につながるからです。
(※ちなみに、日本語の文字を覚えるまでは、語学を自然学習する能力が備わっているという諸説もあります。)
そして、小学校中学年へと成長し、母国語を習得するにつれて、『語学を自然に身につける力』は失われていきます。
そのため、早い段階で、子どもが興味の持てる英語コンテンツに触れられる環境を整えてあげましょう。
小学生高学年の英語のリスニング力を高めるための3つのポイント
うちの子どもは、もう小学校4年生だから遅いかしら…
安心してください。もし小学校3年生までにちゃんとした英語に触れておかないと、英語が身につかないのであれば、それ以降に勉強を始めた人は、誰も第二言語を習得できていないということになりますが、そんなことはありませんよね。
後発で始めても、ちゃんと英語を習得している人はごまんといます。
確かに小学校高学年に差し掛かると、『語学を自然と身につける力』は失われていきますが、その代わり、別の能力が備わってきます。
小学校高学年では、『語学を論理的に学び、習得していく能力』が育ちます
そのためこの時期においては、ただ英語をかけ流しで聞かせるよりは、英語の基本技能を体系的に学んでいくことが大切で、それがリスニング力の向上にもつながります。
それを踏まえて、以下にリスニング力を高めるためのポイントを3つ紹介していきますね。
1.一定の英単語の知識を身につける
言うまでもありませんが、英語を聞けるようになるには、英単語の知識が欠かせません。
例えば、”library(図書館)”という単語を知らなかったしましょう。
音では[lάɪbreri]と聞き取れていても、それが何かを知らなければ、会話は成り立ちませんよね。
ですから、英単語の知識量を多くしておくことは、リスニング力を高める上で、不可欠になります。
ただ、ここで注意するべきことがあります。
それは、英単語の知識量というのは、ただ『英単語の和訳の意味を知っていること』だけでは不十分だということです。
英単語の『正しい発音を知っていること』や『瞬時に意味(イメージ)を取り出せること』も必要になります。
さらには、単語によっては、『使い方まで知っておくこと』が求められる場合もあるでしょう。
英単語の知識量だけではなく、その知識をどれだけ自分のものにしているかという『知識の質』も高めることで、リスニング力は確実に伸ばすことができます。
2.文法の知識を身につける
リスニング力を高めようと思ったときに、英文法が必要だと考える人は、それほど多くはないかもしれません。
なぜなら、英文法は、正しく話すために必要だと一般的に考えられることが多いからです。
しかし、冷静になって考えてみてください。
文法というのは、文を作るルールでもあり、文が作られているルールでもあります。
リスニングで聞く英文も、英文法のルールによって作られています。
英文法を知っていることで、英語の順番のまま理解することも可能になりますし、次にどんな単語が話されるのかもある程度予想がつくようになります。
例えば、生徒が聞き取りにくい単語の一つに”will”があります。
何度聞き直しても「ウィ(ゥ)」と聞こえて、“will”につながらないことが多いのですが、その英文法を教えていくと、当たり前のように聞き取るようになります。
3.リーディングを練習する
最後3つ目のポイントは、『リーディングの練習をする』ことです。
『リーディング』は、『リスニング』と対極にあるのではと考える人もいるかもしれません。
しかし、英語は『順番の言語』です。
日本語であれば、例えば、「私は昨日、スーパーで魚を買った」という文を、「私は魚を昨日スーパーで買った」と言い換えても、ほぼ同じです。
また、「「昨日、スーパーで私は魚を買った」」ということも普通にありますよね。
一方、英語は、特殊なケースを除けば、基本的な順番は決まっています。
英語の順番のまま理解していくには、「リーディング」はとても有効な練習法です。
特に、返り読みをしないで、英語を英語の順番で理解することに丁寧に取り組んでいきましょう。
意外と見落とされがちなことですが、実はリスニング力に大きく直結していきます。
英語のリスニング力の本質を間違えないで…
さて、いかがだったでしょうか。
英語のリスニングをするには、確かに「聞く」練習をすることも大切ですが、それ以外にも、下図のように、さまざまな能力が関係していることは、お分かりいただけたのではないでしょうか。
今回は、リスニングに特に関係するポイントを3つに絞ってお伝えしましたが、それ以外にも、英語の基礎力や論理力、相手の意図やメッセージを読み取る力なども関係してきます。
また、子どもの頃、大人のニュースを聞いても、あまりよく分からなかったように、いくら英語力があったとしても、社会的背景の知識があることで、リスニングしやすくなることもあるでしょう。
大切なことは、各技能において、正しいステップで、体系的に学んでいくことです。
一見、リスニング力を上げるためには、リスニング量を増やすことが近道と考えられがちですが、それで一時的な向上がみられたとしても、バランスの取れた基礎力がなければ、やがては行き詰まってしまいます。
結局は、焦らず一つずつ積み上げていくことこそが、近道です。